バランスを崩して倒れ込みそうになった彼女の体を、条件反射で抱き留める。
そうだ、神坂レイは昨日足を怪我して……!
「足まだ治ってないんじゃん…!」
「静かにしてっ…私は大丈夫、とにかくここから離れないとアパート全体が危ない……っ」
「その足で逃げ切れるわけねーだろ!」
「さっきだって、逃げ切れたんだから…」
「それで悪化したんだろ間違いなく!」
「だけどっ……!」
「ヤダ絶っっ対離さねぇ!」
どうにかこうにかして俺の腕から離れようとする神坂レイを、これでもかという勢いで抱きしめる。
これ以上傷が悪化したら困る。歩けなくなったりしたら俺泣く。絶対泣く。
何か、何か方法はないか!
神坂レイが歩かなくてよくて、逃げ切れる方法が……!
あるじゃねぇか。
「わかった、俺が抱えて行く」
「…………。え!?」
神坂レイが初めて驚愕の声を上げた瞬間だった。
ガバッと顔を上げて、パチクリと瞬きを繰り返している。
この状況下でも彼女の可愛さは破壊力パネェと言うかなんというか。
「き、君は馬鹿なの!?もう一度言うけれど、今アパートの下にはアイツ等が確実に居て……!」
「それはちょっと手伝ってもらおうと思う」
「…………。え?」


