隣の彼女が厨二病だったんだけど。





俺が慌てて「いや何もいません!」と答えると、彼女は「そう。それなら置かせてもらう。」と言ってコップをテーブルに置いた。

それにとくとくとお茶を注ぐ。


「出せるものがこれくらいしかなくてごめんなさい。」

「いいやとんでございません!」

「もともと部屋には人を入れるつもりはなかったから……これ、飲んで。泣いたから、喉渇いたでしょ。」


神坂レイに悪気はないだろうが必死で忘れようとしていたことを引っ張り出されてごろごろ転がりまわりたい俺である。


「……すみませんありがとうございますいただきます…」


もういろいろと死にたい埋まりたい状態の俺は、震える手でなんとかコップを持ってお茶をいただく。

そのお茶が思いのほか美味しかったので、思わずごくごく行ってしまって心底俺ってヤツはという気持ちでいっぱいです。

神坂レイはそんな俺の正面に怪我した方の足を庇いつつ腰を下ろす。

あ、手伝ってあげればよかったちくしょう!

という顔をしていたんだろう、神坂レイが首を横に振った。


「そこまで手を貸してもらわなくてもいい。もう十分だから。」


……すげぇ…その一言で今じーんと来た……。


「……さっきは、驚かせてしまってごめんなさい。」

「いや別に大丈夫っす!」

「…というか、君には初めて会った時から敵意を向けてばかりで……私も少し、考えすぎと言うか、気を張りすぎなところがあるのはいけないと思うのだけれど……」


綺麗に洗った髪の毛を触りながら、神坂レイは視線をテーブルの上へと落す。