隣の彼女が厨二病だったんだけど。





神坂レイの部屋はいたってシンプルだった。

作りはもちろん俺の部屋と同じなんだけど、置いてるものが違う。

テーブルと、棚と、クローゼットと、ベッド。

あと台所には小さな冷蔵庫と、食器もあった。

色調はモノクロで揃えてあって、いろいろとごっちゃになっている俺の部屋より数十倍はオシャレだった。


現在神坂レイは風呂場にある浴槽のふちに座っていて、足を手当てしている俺はタイルの上に直接座っている状態。

最初何の気もなしに風呂場へ行こうとする神坂レイに『ちょ、なんでそっち!?』と焦って止めたのは言うまでもない。

なんせ神坂レイの使ってる風呂場だ。

いや、神坂レイだけでなく女子の使ってる風呂場とかなんかもう入る勇気がない。

いろんな意味で入る勇気がない。

そんな超健全男子高校生の心境などまったくもって考えてない、いやたぶん予想できてない神坂レイは慌てて止める俺に向かって少々迷惑そうな表情を浮かべた。

その表情で『血を洗い流さなきゃ、手当ても何もできないでしょう。』と反論できない正論を述べたので俺もしぶしぶついていったわけなのです。

まあ風呂場はただの風呂場で、俺が普段使ってる風呂場となんら大差ないものだったのだが。

(ただ置いてあるシャンプーとかがやっぱり女子の使うものなので落ち着かないのは仕方ないことだと思ってくれ)



「……っとー、よし!」


包帯を巻き終えて息をつく。

神坂レイは俺の膝上に預けていた足をゆっくりと下ろす。


「……意外、上手。手当てしたことあるの?」

「昔はよく怪我してたからかなー。あと小さい頃何故か坂本がよく怪我してて、ものすげぇ殺気立ったオーラで手当てしろって言ってくるからしょうがなくしてた記憶が……」

「……そう。」