あーでも……でもなあ。
これ聞いても答えてくれるとは思えないんだよなあ……。
いやでも、一か八かで聞いてみるか。
そして思い切って書き殴った質問。
『絵かき、なんでやめたの?』
ノートを覗き込んだ神坂レイの表情。
暗転。
スッとこちらに向けた瞳は、睨むでもなく。
「……どうしてそれを、知っているの?」
直接問い返されたその声は、小声なのによく聞こえた。
質問を間違ったのは明白だった。
「あ…いや、この間渡した紙の、先輩が教えてくれて……」
「……だからあんな紙を…」
“あんな紙”
つまり神坂レイにとって、あの紙は良くないものだったということ。
「……ハッキリ言っておく。私は美術部になんか入らない。」
「……でも、絵描き、好きだったんじゃないの?」
「――黙れッ!!」
……――ガタンッ!!


