隣の彼女が厨二病だったんだけど。





思わず顔を上げていた。

顔を上げて、神坂レイを見ていた。

視界に映った神坂レイは、笑っていた。

笑っていた。

ほんの少しの微笑みだったけど、でもたしかに笑っていた。


「わら……」


った。

俺がそう言い終わる前に、神坂レイはハッとしたように顔を背けてしまったけど。

初めて見た。神坂レイが笑っている顔、初めて見た。


うぉおおお……くそっ……くっそ……かわいい……!!

クール美少女が笑うととてつもなく可愛いことが今ここに証明された…!!

うわああレアだったのになんでもっとちゃんと見なかったんだ俺は…俺は……バカだからしょうがない……いやしょうがなくない……!!

瞼と言うシャッターを100回は切ってよかったはずなのに……ちくせう……!!


ものすごく机を叩いて悔しがりたいのだが、現在授業中だということで耐える。どうにか耐える。

いいんだ、また笑ってくれたらその時にでもシャッターを押せばいいんだ……そうだ、そうすればいいんだ!

(※底抜けにバカな前向きである)


『それで、私に聞きたいことがあるのかと思っていたのだけれど、これだけ?』


神坂レイが一人20面相をしている俺に若干怪訝な目を向けつつ、ノートを差し出してくる。

そうだった、一番聞きたいことはまだ聞けていなかった。