隣の彼女が厨二病だったんだけど。






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昼を過ぎてから学校へとやってきた神坂レイは至って普通だった。

普通と言っても神坂レイの普通なので冷たいことに変わりはないわけだが。

授業中の教室に入ってきた神坂レイは、唖然としている先生に『遅れてすみません。用事が立て込んでいたもので。』と頭を下げ、自分の席に座った。

もはや遅れてすみませんのレベルではないとその時教室に居た誰もが思ったはずだが、誰一人として口出しをしなかったのは相手が神坂レイだったからに違いない。


自分の席、すなわち俺の隣の席に座った神坂レイは、平然と教科書やノートを机に並べ、黒板へと顔を向ける。

俺はその横顔を盗み見る。

相変わらず人形の如く綺麗な顔立ちをしている神坂レイ。歪みねぇ美少女だ。

その神坂レイに、俺は今とてつもなく聞きたいことがある。もう山ほどある。

でも全部聞いて答えてくれる気もしない。なんせ俺に3回(最後の1回は目線)も「関わるな」宣言をしている神坂レイだ。答えてくれるはずがない。

でも聞きたい!

どれなら答えてくれるだろうか!

っつーかどう切り出そうか!


……と、一人もんもんと考えてノートの隅っこに書いて見せた文がこれである。


『きょうはいいてんきですね。』


真剣に考えた結果がこれだよ!


『相変わらず読みにくいね、君の字。』


それでも返事をくれる神坂レイマジ天使。