隣の彼女が厨二病だったんだけど。





「……もしかして少年、知らないの?」

「…………。なにがです?」


本気で知らなかったので本気で知らない顔を浮かべてみせたら、渡辺先輩は頬杖から頭を抱える姿勢になった。

つまり先輩が言いたいこと=ダメだコイツ早く何とかしないと。


「だからかあ…だから美術部のこと何も聞いてくれなかったんだあ…そっかそういう……うわあ間違ったー!少年に頼るんじゃなかった!あたしも一緒について行けばよかったああ!」

「…………」

「渡辺先輩、先ほどから高橋のHPがザクザク減ってるんでその辺にしといてやってください。あとあと面倒なんで。」

「理由そこかよ!っつーか一番HP削ったのはお前だよ坂本!!」

「レベル上げがなってないな。」

「レベル60でラスボスに挑んで瞬殺されることに定評のある俺です。」

「キミ等ゲーム好きなんだねー……っと」


いつの間にやら持っていた手提げの中身をごそごそ漁っていた先輩は、探り当てた何かをこちらに差し出してきた。

レベル60の瞬殺でドヤ顔して坂本から「うざいからそのままアスファルトにめり込んで来いよ。」と言われてHPを限界まで削られていた俺は、涙目で差し出されたそれを見やる。

何かの雑誌のようだった。


「……これはなんなんでしょうか…」

「何も知らないキミ等に教えてあげようと思って!貸してあげる!」

「つまり読めと……?」

「そうだよ?え、もしかして少年、活字読めない人?」

「うるせぇ読めるわ!!みんなして俺をバカにしやがって!!ちくせう!!」

「諦めろ高橋。事実だ。」

「だから元凶はお前だっつってんだろ坂本ぉおおッ!!」