隣の彼女が厨二病だったんだけど。





入学式の時に宣言した通り、現在早起きして自分で弁当を作っている身としては、落としたものすべてがもったいなく感じるので余すことなく拾い上げる所存である。

もれなくついてくる埃が大サービスすぎて腹痛フラグ。


神坂レイは俺が椅子に座り直したのを見計らって、飲んでいたお茶を置く。


「……どうしたら顔にボールが直撃するのか、よく見物しておくべきだった」

「アホの坂本が至近距離で全員全霊を込めてボールぶん投げてきただけなので見物するほどのものではなかったかと」

「あの距離で避けられないなんてありえない」

「反射神経鈍くてすんませ……って、神坂さん見てたんすか?」


ふと思って尋ねると、神坂レイはお茶を飲む手を一瞬だけ、けれど確かにピタリと止めた。


「……視界の端に映っただけ。それだけ」

「そ、そうっすか…」

「というか、人と話す時くらい、その氷を下ろしたらどうなの?」

「す、すんません!いや神坂さんが自分から話しかけてきてくれてなんかビックリしたもんで!」


また、神坂レイの手が一瞬だけ止まった。


「……誰かと、君と関わるつもりは毛頭ないけれど。用件がある時は話す。当たり前のことでしょう」

「まあ……(関わるつもりはやっぱりないのか)。ってことは、今俺に何か用件があるということでOKっすか…?」


聞くと、神坂レイはお茶のパックを置いて、机の横にかけている鞄の中身を漁り始める。

一体何を探しているのかと思ったら。