『本当に信じられない』
「…………」
『部屋も隣な上に席まで隣』
「…………」
『君が仕掛けた?』
『んなわけないです』
『ここまで隣になると疑わざるを得ないのだけれど』
『ざんねんながらおれにそんなけんりょくないです』
『そう。じゃあ偶然?』
『ぐうぜんですね』
『なら仕方ないということにしておく』
『ほんとにぐうぜんだから!!おれなんもしてないっすから!!』
『わかったと言っている』
『すんません』
『ところで、何故君はひらがなばかりなの?読みにくいのだけれど』
『ごめんなさいかんじむずかしいんです』
「……馬鹿。」
「それ言っちゃうんだ!?」
バンッ!
教科書を叩く音が響いた。
反射的に身を竦めた俺は、その時ようやく教壇からの痛い視線に気が付いた。
間違いなく先生がこっちを見ていた。むしろ睨んでいた。
しまった授業中だということをすっかりさっぱり忘れていたよね!!
「……高橋クン。今は何の時間でしょうか?」
「数学の時間です申し訳ございません!!」


