しかしそうとは知らない神坂レイは言葉を続ける。
「君は私の隣人な上に同学年、学校も同じ」
「……そ、そうですね…」
「だから、もう一度言っておかなければならない」
神坂レイがスッと顔を上げる。
こちらを見上げる瞳。
そこに何が映っているのか、俺にはまったくわからなかった。
「……――命が惜しければ、私に関わらない方がいいわ」
迷いのない口調だった。
ザァッと、風が吹く。
神坂レイは音もなく背を向け、グラウンドを歩いて行く。
その背中を追いかけることが、当然俺にはできなかった。
関わるなとか、何かと戦ってるとか、厨二病だとか、命が惜しければとか。
神坂レイには謎が多すぎた。
入学式がもうじき終わる。
もうすぐ、新しい学校生活が幕を開ける。