神坂レイは膝の上で手を組む。
瞼を伏せて続けた。
「……本当は、ひとりで戦うつもりだった。誰も巻き込みたくなくて、ひとりで戦うつもりだったの。でも、君と出会って変わった。あぁ、こんな私でも、絵だけじゃなくて、私自身が誰かの…君の役に立てるんだと思って」
「……うん」
「君が私を信じてくれて、そうしたら私も君を信じてしまって、結局ひとりでは戦えなくなって。……君に、大きな怪我をさせてしまって…」
「…………」
「ごめんなさい…謝っても済むことじゃないということは理解してる。でも……本当にごめんなさい」
「…………」
「だけど、感謝してるの。本当に感謝してる。君が居なかったら、私は今ここに居ない。絵なんて描けてない。もしかしたら死んでいたかもしれない……」
「…………」
「……だから、ありがとう。助けてくれてありがとう。私を…信じてくれて、ありがとう」
何度も“ありがとう”と言う彼女に、なんとなく泣きそうになってしまった。
俺別に泣き虫じゃないんだけどなあー…。
そう思いながら、緩みそうになった涙腺を締めるために笑う。
「……こちらこそ、関わらせていただいてありがとうございました!」
笑いながらそう言うと、彼女も笑って、「…ばか」と言った。
やっぱり神坂レイが笑うと可愛い。
左肩の痛みもその可愛さに吹っ飛んで行っちゃうよね!
とか思いながら、もらった絵を見下ろす。
とても綺麗な絵だった。
綺麗、だけでは表現できない何かがそこにはあった。
水彩を使った淡い絵で、心像っていう類のものだと思う。
俺にはまったくわからない世界だけど、それでも、彼女が見た、感じた何かを描いたそれを見られることは、とても幸せだなあと思ったり。


