隣の彼女が厨二病だったんだけど。





受け取ったものを見ながら、思わずそう言っていた。

申し訳なさそうだった彼女は、きょとんとした顔で俺を見た。

だって、これうれしいじゃないか。

たぶん何よりもうれしいと思う。


「うおおおやべぇうれしいホントうれしいなんだこれ死ぬわ俺今なら死んでもいいわ地獄に行っても笑って過ごせる程度には幸せだわありがとうそしてありがとうッッ!!!!」

「……そ、そんなに喜んでもらえるなんて、思ってなかった…」

「だってうれしいだろこれ!あああよかったああ!」心の底から思っていた。「絵、描けるようになったんだな!」


大金貰うとか、国ひとつもらうとか、そんなの比べ物にならない。

そんなもの、神坂レイからもらう一枚の絵と並んだら、霞んで消える。


彼女が、絵を描けるようになったっていう、その証拠をもらったことが、何よりもうれしいのだ。


神坂レイは目を見開く。

何度も瞬きをして、微笑んだ。


「……君のおかげ」


柔らかな声で言う。



「君が居てくれたから、絵が描けるようになったの」



なんだかもう、その言葉だけで十分だった。

痛い思いしたし、死ぬ思いしたし、自分の惨めさも情けなさも弱さも全部痛感した。

でも、彼女がそう言ってくれたから、もうそれだけで、そのすべてを越えるくらい嬉しいわけで。

やっぱ俺単純だなあとか思うけど、嬉しいんだからしょうがない。