昔は、俺だけではなくもう一人いた。

普段俺は、暗い部屋のようなものの中で、主から呼ばれるまで待機している。

俺が主の下で働きはじめてから日もあまり経っていない頃。

話しかけてきたのは、アイツからだった。

―ねぇ、誰かいるの?

…驚いた。
俺以外に同じヤツがこの部屋にいるとは思わなかった。

―誰だ、おまえ。

そう聞いたら、すぐに返事は来た。

―私も貴方と同じ存在だよ。使命を果たし続けるために生まれてきた。

―…へぇ。俺は真白。あんたに名前はないのか?

―…真白。良い名前だね。君は白い肌をしているのかな?…私と反対だね。私は、クロ。

―クロ?

―うん、クロ。今は暗いから分からないかもしれないけれど、私は生まれつき黒い肌をしているの。

―へぇ、驚いたな。

事実、俺は驚いた。俺と同じやつは何度か見たことがあるが、どいつも白いやつばかりだったからだ。