「真白ー、真白ー。まーしろー」

「…床に這いつくばって、何探してんだ?」

「何って、真白だよ」
「ましろぉ?何それ、人か?クラスにそんな名前いたっけ」

「っげぇよ、消しゴムだよ消しゴム!さっき落としちまってよー、どこ行った真白ー」

「…消しゴムぅ?また物に名前つけてたのかお前。相変わらず変な趣味だなぁ」

「変なって言うな。名前つけると愛着湧くだろ?
シャーペンは桃乃助、前無くした消しゴムはクロ、今の消しゴムは真白、椅子はチェア子…」

「それ全部、色で名前決めてるだろ。チェア子って何」

「あー!クロも無くしたばっかなのにチキショー」

「なぁ、お前の言ってる『クロ』って、もしかして黒い消しゴム?」

「え、お前知ってんの!どこにあった!?」

「あー…悪ぃ。お前のだったかあれ。この前の大掃除で見つけて…」

「見つけて?」

「…捨てちゃった」

「…なぁぁにィィぃぃぃ!?」

「悪かったってー、『真白』だからどうせ白い消しゴムだろ?見つけたら持っといてやるよ」

「うぅー…、ったく。」

唸りながら見つからなかったら嫌だなぁ、と思う。

…まぁ、そんときゃ新しい消しゴム買うか。

はあぁー…と俺は深いため息をついたのだった。