「え?“おめでとう”って……もしかして気づいてたの?」
「へ?」
「私がずっとトラのことを好きだったこと」
耳元でこっそり囁くさくらちゃん。
「……う、うん」
「何で?!どうして?」
「この前、体育祭の練習初日の時に希沙ちゃんが言ってたでしょう?“相手の名前を口に出して言ってもいいのかって」
「あーうん……そんなことあったね」
「その時に気付いたんだ。希沙ちゃんもさくらちゃんも二人して崎本くんのことを見てたから」
目を見開いて驚くさくらちゃんにそう言った。
「……ああ、私ってば迂闊(ウカツ)だったわ」
するとさくらちゃんは両手で顔を隠すように覆うと、小さくため息を漏らした。

