そう言った彼の顔にドキッとする。
「黙ってられなかったって、どういうこと?」
私が訊ねると、榛名くんはゆっくりと口を開いた。
「アイツが――高木が佐脇さんのことをバカにしてたから」
榛名くんは顔を窓の方に背けてそう言った。
「“体育の授業の時、こけるたびにむ……胸が背中に当たってオイシイ思いが出来た”って……
そういうのは、笑いながら他人に話すことじゃないだろ?」
「……もしかして、それが喧嘩の原因?」
「まさか自分が人を殴る日が来るなんて思わなかったけど」
榛名くんはコクリと頷いてから、
「俺、やっぱり喧嘩は向いてないわ」
自分の右手を見つめ、ため息をもらした。

