――カリカリッ…… ある日の放課後、 シャーペンがノートの上を走らせる音が静かに鳴り響く。 誰も居なくなったその教室で、私はひとり 日誌に視線を落としていた。 クラスには必ずといってもいいほど居る“鈴木”と“佐藤”の名前がふたつ。 黒板の右下―― 日直欄のところに並んでいる。 「何だ、佐脇。まだ残ってたのか?」 名前を呼ばれてふと顔をあげると、教室のドアの前に驚いた顔をした学年主任が立っていた。