「あーもう!」

何かを思い出したように月姫は苛立つ。

「迂闊に曾祖父の『藤原剣術道場主催道場破りという名目で美味しい物を食べに行こうツアー』に参加したのが間違いだったわ。まさかその間に兄上がクラスメイト達とキャンプに行っちゃうなんて!しかも…」

月姫の握り締めた拳がワナワナと震える。

「聞く所によると、そのキャンプ中に、事もあろうに私の兄上に恐れ多くも関節技を極めた女がいるっていうじゃないの…」

「…何か問題あるの?」

夕の言葉に。

「ありますよっっっっ!」

月姫は血相変えて吠えた。

「関節技ですよっ?寝技ですよっ?うら若き男女が寝そべって、密着して、肌を重ねて、絡み合って…」

「お前の言い方は何かおかしい」

秋雨、三度目のツッコミ。