「こ、怖ぇぇ…夜の学校怖ぇぇ…」

月姫の背中に隠れて秋雨が歩く。

先程の道化師を魔法で粉砕した凛々しい少年はどこへ行ったのか。

月姫の背中に隠れているオマエ、誰?みたいな。

「あんだけ凄い魔法使えて、幽霊が怖いもんかしらねぇ?」

「バッカ月姫!幽霊だぞ?お化けだぞ?死んでるんだぞ?足ないんだぞ?透けてるんだぞ?どーよ!?」

「いや、どーよって言われても…」

困ったように首を傾げる月姫。

「あーあ…いっそ背中にしがみついてるのが秋雨じゃなくて兄上だったらなぁ…ていうか兄上相手なら私の方がしがみつきたいわぁ…『やぁん兄上、怖ぁぁい♪』とかって」

「お前のが怖いわ」

秋雨が変な匂いを嗅いだ猫みたいな顔をした。