天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ

「おぉ、怖ぇ怖ぇ」

こりゃあ月姫のブラコンもビョーキの域だなと。

苦笑いを浮かべていた時だった。

「っっっ…!」

突然。

月姫との会話の最中にもかかわらず、龍太郎は過敏なまでに背後を振り向く。

「……どした?龍太郎」

キョトンとする月姫。

「…今…視線を感じた」

頬に一筋の汗を流しながら、険しい表情で龍太郎が言う。

「視線ったって…」

怪訝な顔をする月姫。

今、この炎天下の校庭には、補習帰りの龍太郎と剣道部の部活帰りの月姫しかいない。

だだっ広い校庭の真ん中。

遮蔽物と言えば、遠く離れた場所にある体育用具倉庫か校舎だけだ。

「気のせいじゃない?」

「いや…」

確かに視線を感じた。

龍太郎は流れる汗が冷たいものに変わっていくように思えた。