天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ

「おら、顔隠すな」

着物の袖で口元を隠した雪菜の両手を掴む龍太郎。

露わになった笑顔は。

「ほれ見ろ」

怖くもぎこちなくも無い、どこにでもいる普通の少女の笑顔だった。

「不自然な事するから不自然な表情になるんだ。人間とか人外とか関係ねぇ。可笑しけりゃ笑え。その方が自然だ」

龍太郎の単純明快な言葉に。

「…有り難うございます、龍太郎君」

雪菜は実に自然な、柔らかな微笑みを浮かべた。