天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ

そういう訳で保健室を出る龍太郎と雪菜。

「うわ…まだ外は蒸し暑いですね…」

フラリとよろめく雪菜。

雪女にこの夏の猛暑は堪える。

「雪菜、いいんだぜ?弁当くらい俺が買ってくるからよ」

暑さに参っている雪菜に龍太郎が気を遣うが。

「大丈夫です、もうすぐ日も沈みますし…私、夜の方が元気になるんです。人外ですから」

雪菜は妙に納得できる一言を返した。

確かに校舎に差し込んでいた真紅の日差しは徐々にナリを潜め、薄闇が辺りを支配し始める。

眩いばかりの昼間の時間はもう終わり。

光を嫌い、陰に潜んでいた物の怪や魑魅魍魎が姿を現し始める。

夜気漂う暗闇の時間が、始まろうとしていた…。