天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ

鹿獄 郷（かごく ごう）。

天神学園高等部保険医。

天神学園には様々なタイプの生徒が在籍している為、人間以外に対する医術の心得も必要である。

それ故にこの学園には保険医も数人存在する。

郷はその一人なのだ。

如何にも寝不足気味といった感じの目、無精髭、肩までつく黒髪を後ろで一つに束ね、ヨレヨレの白衣を着用している。

その見た目病んだ出で立ち、常に無表情無口で何を考えてるか分からない為か、彼の保健室には恐くて誰も近寄らない。

が。

「手に負えない問題って？」

秋雨が郷に問いかける。

「ん？ああ…」

無気力そうに郷は言った。

「天神学園は人種に限らず種族の坩堝だろう？それだけに、様々な霊や人外の好む空間になりやすいのさ…霊の通り道である霊道もそこら中にあるし、人外の雪菜だって、この学園は何か居心地いいだろう…？」

郷の言葉に、雪菜はコクコク頷いた。