高く高く、青い空に聳え立つ入道雲。

太陽は頂点に君臨する王者のように、強く強く照り続け、その日の光を白い砂地が恨めしいほどに反射する。

上から下からの灼熱地獄。

そんな煉獄の如き昼下がりの校庭を、一人の男が歩く。

遠くから見ると、その姿が陽炎で揺らめいて見えた。

ともすれば、砂避けの衣も纏わずに砂漠を旅する自殺志願者のようだった。