静かな海の兄き

「俊樹さ
今 東京でバンド組んでやってんだ。
知らねぇかな~?」

えっ!?
トシキ?バンド?
まさか…

なにやら思い当たるところがあるのか…

翔は

心臓がバクバクしてきた。

「0-BOX(ゼロ・ボックス)っていう
男3人のバンドなんだけど…」

宏史が言い終るか終らないかぐらいに

「ヴォーカルの!?」

完全に興奮しきっている翔が

力いっぱい叫んだ。

「そ…う だけど…」

翔の反応に驚いた宏史は

若干 身を引いてしまった…

「知ってるもなにも…
俺 めっちゃ好きなんだけど…」

翔は 音楽が好きで

特に

同じ年で

結構有名な俊樹達のバンドが大好きで

ライブにも足しげく通うほど

ファンであった…

まさか

こんな所で

自分の憧れている人の名前がでてくるとは…

しかも

その人に

とても近い人物と



一緒にいるということが

信じられないようだ…