A sweetheart is a ghost

そのときいいタイミングで体温計がなる。

それを出すと亀川さんも覗き込んできた。


「38度2分。ちょっと下がったね。ほらほら、もう寝て。だいたい明日仕事行く気なわけ?そんな状態で来てもらってミスされたらたまらないんですけど。」


笑いながら亀川さんは言った。

休めって言ってるんだよね。

苦笑いしながら


「下がったら…でも今日はやっぱり家に…」

って言うけど亀川さんがわたしを優しく倒して布団をかけてくれた。


「ソファーベッドがあるから俺、あっちに寝るから。何かあったら起こしてな。寝て早く治してもらっていいかな。会社のためにも俺のためにも…なんてな。」


ハハっとまた笑って亀川さんは背中を見せてわたしから離れて行った。


きっと今日は帰してもらえない。

潤一との残りの日は8日なのに…。

潤一がどうしてるかもわからないのに…。

もどかしいけど動けそうにもないからわたしはあきらめる方を選んだ。

きっと明日会える、そう信じて


「ありがとうございます。おやすみなさい。」


小さく亀川さんに言った。

その言葉にこっちに振り向いてわたしを見る亀川さん。


「おやすみ。」


優しく笑って言ってまた背中を見せた。



悪い人じゃない。

いい人だと思う。

こんな優しくしてくれる人、あんまりいないと思う。

恵まれてるよね、わたし。


…だけどごめんなさい。

わたしには潤一しかいないんです。



心の中でずっと謝ってた。