初めての職場のなったこの高校は、



都内でも比較的有名な進学校。



教師になった俺は、



とにかく生徒に嫌われないように、



いつでも作った笑顔をばらまいた。



時にはまるで教育への熱い思いを持っているかのように振るまった。



保護者には反感を買わないように、



熱心な教師のふりを見せてきたんだ。



それは、きっと自分が傷つきたくないから。



自分を守るためのこと。



いつしか俺には、そんな癖がついていた。



繰り返す適当な毎日をただ生きているだけ。



やりがいもなく、達成感もないような、



空っぽで、どこまでも真っ白な俺の心だけが、そこにはあった。