なっちゃんと航太が帰った後、圭吾さんがわたしのアルバムを見たいと言い出した。

なんとなく気恥ずかしいけど、アルバムを出してきて二人で見た。


表紙を開くと、赤ちゃんのわたしを抱いたママがいた。


「彩名にそっくりだ」

圭吾さんが言った。


よちよち歩きのわたし

幼稚園児のわたし

小学校の入学式――誰が撮ってくれたんだろう――家族三人の写真

龍と撮った写真もある。


そういえば、この龍ってどうしたんだっけ?


「この家、今のマンションじゃないね?」


「うん。一軒家を借りてたんだ。ここに引っ越したのはママが亡くなった後だよ」


「この人、誰?」


圭吾さんが指差したのは、ママと同じ年頃の女の人。


あれ? 誰だっけ?


「確か、親父の友達の村瀬さんところの人。お姉さんだったか、奥さんだったか分かんないけど。家が近かったから、ママが亡くなった後、しばらくわたしの面倒を見てくれたはず」


それから今のマンションに引っ越して来て、なっちゃんと航太と写ってる写真が増えた。


ホントだ 笑ってない


どの写真も、生真面目な表情のわたしがこっちを見ていた。


圭吾さんがそっと写真のわたしを指でなぞった。


「できることなら、この日の君を抱きしめたい」


わたしは瞬きして涙を払うと、圭吾さんの肩に頭を寄せた。


「帰ったら、圭吾さんの写真も見せてね」