「ホントだ。笑ってる」

航太が呆然としたようにつぶやく。


「いやね、二人とも。わたしだって笑うわよ」


「ううん」

なっちゃんは首を振った。

「写真撮る時、しーちゃんは笑わない。絶対に笑わない」


そうだっけ?


「お前、子供の頃の写真見てみろよ。笑ってるのなんてほとんどないはずだぞ」


そうなの?


「これ、誰が撮ったの?」


なっちゃんがわたしにケータイを戻してよこした。


わたしと彩名さんが笑顔で写ってる。


「これ、圭吾さんに撮ってもらったやつよね?」


圭吾さんにケータイを渡す。


「そうだね。うちに来て一ヶ月くらいして、志鶴がお父さんに送るからって言って撮ったやつだ」


「航太、あきらめな」

なっちゃんが言った。

「しーちゃんは、この人のコト好きなんだよ」


「あきらめるも何も、俺は別にしーのコト好きなわけじゃねぇ」

航太はぶっきらぼうに言った。

「いや、幼なじみとして好きだけど、恋してるわけじゃねぇから」


「そいつはよかった」

圭吾さんがボソッとつぶやいた。