「叔父さんの家に着くのは七時過ぎだな」


圭吾さんはあくまでも『志鶴の家』とは言いたくないらしい。


「食事どうする?」


「ピザ! 宅配ピザ!」

わたしは勢い込んで言った。


圭吾さんの家で絶対に食べられないのがジャンクフード。

でもジャンクフードで育ったわたしは、時々ものすごくそういうものが食べたくなるのだ。


「うちにメニューのチラシあるの。絶対にピザぁ~」


「はいはい」

圭吾さんはおかしそうに言った。

「そんなにピザが好きだったっけ?」


「イタリアンレストランのじゃなくて、フランチャイズの宅配ピザが好きなの」


「好きなのはどの店? うちの近くに作ってあげるよ」


へっ?


「うちの家業は不動産の賃貸だよ。出店場所なら山ほどある」


いや、そんな大きなコトをさりげなく言われても…… 


「友達と相談してからでいい? どうせならみんなで楽しめるところがいいし」


「そうだね」


これでうやむやにできる――かなぁ?