土曜日

私はこの日の為に新調した
紺色のワンピースにそでを通した
シフォン生地で
適度な透け感が気に行っている


マンションの前に立つと
小松原の車がやってきて
緩やかに止まった


ドアを開けて乗り込む

「おはよう。」

「よう。」


小松原の姿を見た瞬間絶句した

いつも何もしていない寝ぐせだらけの髪は
しっかりとワックスで整えられ
髭もないし
心なしか肌の艶も良く見える

極めつけは
チャコルグレーの細めのフォーマルスーツだった
ノーネクタイだったが
変わりにスカーフが巻いてある


「なんだよ?」


言われてハッとした

「な、なんか今日
いつもと違くない?」


「そりゃ、世界の巨匠の個展だろ?
それなりのVIPやメディアも来るだろうし
それなりにしないとな。」


ほぉー…
それなりって言うには
ずいぶん
気合が入っているようにも見えるが…


まぁ、いいか



小松原の変貌ぶりに驚きつつも
私の中では
エロ爺と対峙するために
ロッキーのテーマが流れていた


小松原という男前な
助っ人を得た今


負けられない戦いがここにある!!