そんな奴らをしり目に
足を進める


所詮は盛りのついたガキ
キャパオーバーの色気には
まだまだ脆い


職員室に入って
真っすぐに向かうのは

この学校に唯一の私の天敵


「勝浦教頭先生、こちら今月の保健だよりです。
よろしくお願いします。」


保健だよりは保健室で制作している
月に一回の健康新聞の様なもので
季節の病気や健康診断などのお知らせが主な内容だ


踵を返して
教頭から離れようとしたとき

「高宮先生。」


来た来た…

案の定
教頭はバーコード頭を揺らしながら
私を呼びとめた


「なにか?」


「君、今朝車で来たそうだね?」


げっ…


思わず出そうな言葉を飲み込む


確かに…今朝は
ボーイフレンドの一人のメンズに
送ってもらった

でも
裏門で降りて
誰の目にもつかなかったはずなのに


「はい。
体調がすぐれなかったので
友人に送っていただきました。」

そっと額を抑える


この迫真の演技で通用するか?
このまま昼休み抜きで説教されるのは
死んでもごめんだ


「はぁ…。
まったく。体調不良なら仕方がない。
だが…」


結局五分弱説教されたあと
「申し訳ありませんでした。」

今にも溢れそうな怒りを抑えて
神妙に頭を下げて
職員室を出た