その瞬間
聞こえてきたのは甲高い女の声

え?

話の内容まではわからないが
電話をしている彼は
何やら焦った様子で
時計をチラチラ見ている


なんとなく気になったが
そのまま彼が戻るのを待った


「すみません。」


「いえ。
お電話大丈夫ですか?」


「あ…はい。
ちょっと取引先からで…。」


その声と表情は焦りがにじみ
嘘だという事が簡単にわかった


ただいま21時
こんな時間に女から電話…?


一気に商社マンに対しての
意欲と性欲が薄れていく


「ところで。
明日はお仕事早いんですか?
もしよければ
このレストランの近くに
バーがありまして…」



「ごめんなさい。
私、明日は早出なんです。

ここで失礼します。」


「え?!
高宮さん?」



驚き立ちあがった商社マンを
しり目に
私はレストランを後にした



もはや
商社マンに何の魅力も感じていない


怪しい臭いがする男は
近づかない

これは
私のモットーだ