「さすが。
持つべきものは腐れ縁だな。」


「今すぐにでもその縁を断ち切ってやりたいわ。」


等と憎まれ口を言うと

~♪
ロッキーのテーマが鳴り響いた


私は急いで携帯を抜く

先ほど温めに温めて送信した
商社マンからの返事であることは間違いない


「お、また男かよ?
お前も、飽きないね―。」

小松原の言葉は無視

「高宮先生って今どき
着信ロッキーなんですか?」

「長瀬、お前には特別に教えてやるよ。

アレはな?
高宮がキープしてる
遊びの男たちから専用の音楽。」


「遊びの男?」


「失礼ね!
ボーイフレンドよ。」

しっかりと訂正を入れて
私はまたメールに視線を戻した

「高宮は雌豹の如く男どもと戦い
全てにおいて勝ちたいという
哀れな野望思った女なんだよ。

だから、アレは
マウンドに入場する為の
テーマソングなわけ。」

ふん!
好き勝手言いやがって小松原め
いつか
目にモノ見せてやる


一方の長瀬は
ぽかーんとして私を見つめていた


その無垢な瞳に見つめられると
なぜか良心が痛んだが


私の意識はすでに
今夜の戦いに向けて動いていた