大きく硬いものが莉世の肩にぶつかり、竜巻の渦へと巻きこまれていく。



痛みに莉世の荷台を掴む手が一瞬離れた。



次の瞬間、莉世の身体は木の葉のように舞い上がった。



そして、あまりの息苦しさに莉世は意識を失った。




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商人一行を助けたラシッドは竜巻の向かう方向を見てあ然となった。



「アクバール!」



ラシッドはガラーナを方向転換させて竜巻の方向へ向かおうとする。



「ラシッド様!お待ちください!今向かっては殿下も巻き込まれてしまいます!」



アクバールが叫ぶ。



「何を言う!リセがあそこにいるのだぞ!」



アクバールの制止も振り切り、ラシッドは竜巻の方向へガラーナを走らせた。