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「リセ!リセ!」



お兄様……?



覚醒できていない頭にラシッドの声が聞こえてきて朦朧と考える。



莉世はハッとして目を開け、グリーンの瞳をのぞかせた。



瞳に映るのは凛々しく、美しい、愛する人の顔。



「お兄様っ!」



莉世は飛び上るとラシッドの首に抱きついた。



ラシッドの肩を莉世の涙が濡らしていく。



「顔を良く見せてくれ」


「いやっ!」



こんな涙でぐちゃぐちゃの顔を見られたくない莉世はラシッドの肩口で首を横に振る。



「なぜ?君の王が望んでいるのに?」



「だって、こんなにひどい顔を見られたくないんですもの」