「団長、いろいろと手を尽くしてくださってありがとうございました おかげでバルクーク国から出ることが出来ました」



視線を足元に落としている団長に、莉世はお礼を言った。



「い、いいえ リセ様のお役に立つことが出来て光栄でございます」



その固い言葉に莉世はクスッと笑みを漏らす。



「そんなに固くならないでください わたしがこうして無事にいられるのも団長をはじめ、みんなのおかげなのですから」



「は、はあ……」



「そう言えば……」



莉世は辺りを見廻した。



彼らの他には馬が数頭いるだけだった。



「道具を持って来られなかったのね?」



莉世の顔に悲しみが広がる。



「急を要しておりましたので」



アクバールが言う。



「リセ、大丈夫よ!なんとかなるから」



ファラウラが元気よく口を開いた。