夜が明けても宮殿の中は騒がしかった。



兵士たちが次から次へと宮殿を出て行く。



「早くリセに会いたい 我らも帰るぞ」



ラシッドは窓辺からは離れると、アーメッドに言う。



「無事に着いたのでしょうか」



「アクバールが付いているんだ 大丈夫だ」



一番信頼を置いているアクバール以外、莉世を任せられる男などいない。



ラシッドら、一行は気もそぞろな国王に挨拶をすると、バルクークを発った。