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何かに揺られている感覚に、莉世はハッとして目を開けた。



「リセ様、お気づきになられましたか」



頭の上から降ってくる聞いたことのある声。



「アクバール!」



莉世は身体を起こし、後ろを見た瞬間、側頭部の痛みに息を呑んだ。



「大丈夫ですか?止血は済ませましたが、かなり腫れているので痛むはずです」



「……どうして……?」



昼間の暑さとはうって変わった寒い砂漠の中を、アクバールに抱え込まれるようにして馬の背に乗っていた。



「本当にご無事でなによりです」



周りを見ると、ラシッドの側近の顔が数人見える。



彼らは莉世の左右に馬を付け走らせている。



「お兄様は!?」



「明日、バルクークを出国なさいます ご安心ください リセ様はわが領土のオアシスへ向かいます、そこでラシッド様と合流されますから」