「これ以上騒がれますと、人を呼びます 逃げようとしたことが国王に知られれば妃になるどころか、牢屋に閉じ込められてしまいますよ」



「それでもいい!結婚は出来ないわ!」



乱暴に手足をばたつかせる。



「リセ様!」



腕が折れそうなほどの強い力で押さえつけられる。



「ぁうう……」



腕が砕かれそうなほどの痛みに莉世の動きが止まった。



「さあ、部屋へお戻りください」



憎らしいほど冷静な声。



莉世は腕を掴んでいる手に顔を近づけ、思いっきり噛みついた。



さすがに冷静さを失ったうめき声がした。



次の瞬間、頭を強く剣の柄で殴られ、莉世はその場に倒れた。



痛みに意識が薄れていく。



お兄様……。