Strawberry[更新停止中]

「ううん、早かったね?」



「早く来ないほうがよかったか?」



また私は失敗してしまったらしい。




ほとんど怒ることのない彼が、ますますの不機嫌オーラを隠そうともしないので、どう答えていいのかわからなくなる。



―――感情を隠されても困るけれど。


鈍いとまではあまり思いたくないが、あまり人の感情を読むのが得意でないことは自覚している。


そして、自分の気持ちや感情を伝えることも、私は苦手だった。




「ううん、来てくれて嬉しいよ?―――――ケーキ、食べる?」


拙い言葉。



それでも、なんとか気持ちを察してくれたらしく、先輩は少しだけ険しい顔をやわらげてくれた。



「‥‥‥‥‥‥食べる」



隣のテーブルから椅子を一つ奪い、侑の隣にどかっと腰を下ろした。




「うん。はい」


シフォンケーキのお皿を動かし、フォークを渡すけど


「‥‥‥先輩?」


受け取ってくれない。



「で、誰?」


「え?」


「こいつら」


「‥‥‥‥‥あ」


忘れてた。




「――――忘れてた。‥‥‥って顔に描いてあるよ、侑」

「俺らの存在、忘れてたろ」

呆れたような千真と弘之の言葉に、慌てて顔をひきしめた。

そういえば先輩、加奈は知ってるけど、千真と弘之は知らないんだった。二人は先輩を知ってるから、知り合いだと思い込んでしまっていた。


「はじめまして、侑の友達の進藤千真です」

「村上弘之です」


「どーも。瀧沢耀です」



どちらも大切な人たちだから、友達になってくれたら嬉しい―――――と思うのに。



どうして、みんな顔、引きつってるの?




千真だけは笑ってるけど。