息を切らして教室に駆け込む。みんなまだ席に着いていないので、まだ担任は来ていないらしい。
「おはよ、侑。間に合ったね」
「よかったぁ‥おはよう、美里」
クラスメイトとの話を切り上げた美里が笑いながら私の方を向く。
背が高く、大人っぽい顔立ちに今日もきれいに整えられたミディアムの髪がサラリと揺れる。
「また浩太先輩?」
「うん。もう浩太起こしても起きてくれたことないんだから。今日は直人がいたから送ってくれて間に合ったけど」
ぷくっと頬を膨らませながら言う。
「相変わらずねぇ」
この学校で浩太を知らない人はいない。
それは、めったにお目にかかれないような整った顔立ちのせいだけではない。人懐っこく、いつでも明るく情に厚い浩太は友達も多く誰にでも好かれていて、女の子に騒がれるのは日常茶飯事なのに、憎めない性格から男からも好かれていた。
よそ者で人見知りだった私がすぐにこの町に馴染み、友達ができたのも浩太のおかげだった。
私が浩太と兄弟ではないことは、この学校の誰もが知ってる。それでも双子のようにいつでも一緒にいることも誰もが知っていた。
けれど、私の浩太や直人と血の繋がりのないことへの寂しさやいつまでも消えることのない大きな孤独を、美里だけが知っていた。
その上で、“相変わらず”と言う美里から、この穏やかな日常に私が幸せを感じていることをわかった上での最上級のやさしさが伝わってくる。
ぷっと吹き出して、暗黙の了解のように二人顔を見合わせてクスクスと笑う。言葉にせずともわかってくれる小学校の頃からの親友がいて、いつも一緒の双子の半身のような浩太と、血は繋がっていなくてもあたたかい家族がいて。
「ほんと、変わらないわね」
幸せに酔う私は、笑いながら言う美里が一瞬、寂しそうな顔をした理由に、このときはまだ気付くことはなかった。
ううん、気付かない振りをしていただけなのかもしれない。
私はいつだって、この変わらない日常が壊れるのを恐れていたから。
「おはよ、侑。間に合ったね」
「よかったぁ‥おはよう、美里」
クラスメイトとの話を切り上げた美里が笑いながら私の方を向く。
背が高く、大人っぽい顔立ちに今日もきれいに整えられたミディアムの髪がサラリと揺れる。
「また浩太先輩?」
「うん。もう浩太起こしても起きてくれたことないんだから。今日は直人がいたから送ってくれて間に合ったけど」
ぷくっと頬を膨らませながら言う。
「相変わらずねぇ」
この学校で浩太を知らない人はいない。
それは、めったにお目にかかれないような整った顔立ちのせいだけではない。人懐っこく、いつでも明るく情に厚い浩太は友達も多く誰にでも好かれていて、女の子に騒がれるのは日常茶飯事なのに、憎めない性格から男からも好かれていた。
よそ者で人見知りだった私がすぐにこの町に馴染み、友達ができたのも浩太のおかげだった。
私が浩太と兄弟ではないことは、この学校の誰もが知ってる。それでも双子のようにいつでも一緒にいることも誰もが知っていた。
けれど、私の浩太や直人と血の繋がりのないことへの寂しさやいつまでも消えることのない大きな孤独を、美里だけが知っていた。
その上で、“相変わらず”と言う美里から、この穏やかな日常に私が幸せを感じていることをわかった上での最上級のやさしさが伝わってくる。
ぷっと吹き出して、暗黙の了解のように二人顔を見合わせてクスクスと笑う。言葉にせずともわかってくれる小学校の頃からの親友がいて、いつも一緒の双子の半身のような浩太と、血は繋がっていなくてもあたたかい家族がいて。
「ほんと、変わらないわね」
幸せに酔う私は、笑いながら言う美里が一瞬、寂しそうな顔をした理由に、このときはまだ気付くことはなかった。
ううん、気付かない振りをしていただけなのかもしれない。
私はいつだって、この変わらない日常が壊れるのを恐れていたから。

