「ふうん。侑って、やっぱり瀧沢先輩のこと好きだったんだ」

「だよな、」


お昼休み、集まったいつものメンバーと、大学の食堂でお昼ご飯を食べながら今日のできごとを話す私に、向かい側に座る加奈(カナ)と千真(カズマ)はさも当然のように言う。


え?


と私が思うより早く、隣に座っていた弘之(ヒロユキ)が飲んでいた緑茶を吹き出した。

「ごほっ!!」



「何やってんのよ」


きたないなあ。しらっとそういい捨てる加奈をにらみながらむせている弘之に、私は慌てて小さいタオルを渡して背中をさすった。


「ヒロ、大丈夫?」


「あ、ああ」


やっと落ち着いたらしく、返事を返してくれるが、目はうっすら涙ぐんでしまっている。


そうとう苦しかったんだなあ‥‥‥‥‥


そんなことを考えながら、問題の加奈の発言をぼんやりと思い出していた。



私が、先輩を、好き?


――――――違う






好き――――――?






「…う、侑!!」
「はいっ!」


また、ぼんやりしてしまっていたみたいで、三人ともじっと私を見つめている。


「で?」


「え?」


何が?


よく意味がわからなくて首をかしげると、加奈はちゃんと言い直してくれた。


「だから。侑は、瀧沢先輩のこと、好きなの?」


「‥‥‥‥‥違う、よ?」



違う。




たぶん、今のは加奈は恋愛の対象として好きかって訊いたんだと思うから。
いくら鈍い私でもそれだけはわかった。



―――――恋は、しちゃ、だめ



やっぱり、という言葉までは気づかなかったふりをした。



三人にではなく




――――――自分に。