リーゼントに恋をした‐番外編‐


酷い汚され方でもしたのだろうか?


泣いているのか?ミノリは目をこすっている感じで。

宥めてくれている雰囲気の先生は、ミノリの背中を撫でてくれている。


「涼介、俺ここで待ってるから早く行ってあげろよ」

「ああ、悪いな」


玄関に座り込んだ恭一を置いて俺はホールの中へと急いだ。


俺に気付いた担任の先生に向かって挨拶をするなり、ミノリがダッシュで俺の所へと駆け寄って来て。

本当に、どうしたんだよ・・・・・・という気持ちと、小さい体ながらにも一生懸命に生きているミノリの姿に、愛しさで胸が詰まされる。


「お、にぃーちゃん」


そう言って、俺の足にしがみ付いて、ミノリは肩を震わせていた。


少し屈んでギュッと抱きしめると、ミノリは更に力いっぱいしがみ付き返して来た。


「どうした? なにかあったのか?」


あったかなかったかは、一目瞭然だが。

ただ、そう聞いた直後――うわぁぁぁぁん、と。

ミノリは普段泣かないような、豪快とも言える泣き方で、勢いよく泣き出した。


抱きしめて、頭を撫でて、「もう大丈夫だ」と、ミノリを早く笑顔にしたいと思いながら宥めた。