「すみません。ちょっと状況が解らないので、先にミノリを迎えに行って来ます」
「あ、ごめんなさい――そうよね。もう、どうしよう。本当にごめんなさいね」
焦っている感じの保護者に深々と頭を下げられた。
洋服を弁償って、一体なにがどうなってんだ?
俺はブルーな気持ちを抱え、正面玄関へと急いだ。
「なんかあったんかな? ミノリちゃん大丈夫かな」
「さあ・・・・・・」
恭一もただ事ではない雰囲気を察知して声を掛けてくれたが、俺に余裕はなかった。
玄関で靴を脱ぐなり、「あれ、ってミノリちゃんか?」
目敏い恭一が、ミノリを発見。
大ホールの片隅で、保育園の担任の先生と、なにかを話しているミノリの姿が見えた。
遠目から、何故か今日結わった髪はぐちゃぐちゃに見え・・・・・・そして、ミノリは体操着を着ていた。
登園時は体操着。
日中は体操着で活動して、昼寝の時間はパジャマに着替える。
おやつの時間の前に毎日持たせている着替えを着て、迎えの時は、その持たせた私服を着ているハズなんだが・・・・・・。
さっきの保護者の、『うちの子が洋服を』って言葉を思い出した。

