『ミノリちゃんの』って言った時の母親の顔が、完全に引き攣っていたし。

あのチビ、ミノリに、なにかやらかしたのか?

そんな嫌な予感が、俺の中で嫌悪感を生み出していた。


保育園に預けている以上は、些細なケンカや揉め事とか、そういうことは日常茶飯事に起こり得ること。

危害を加えられる事もあれば、ミノリが逆の場合だってある訳だが・・・・・。


「ごめんなさい・・・・・・うちの子が、ミノリちゃんに」


そう言われて、やっぱりか――と、そんな気持ちになった。


ここ最近、そういう事が増えつつあった。


ただ、ミノリにとっては社会生活の初めての場所。

同じ年代の子の中で、こうして成長していくもんだからって、半ば諦めにも近い感じではあったが。


園児達がいる部屋から離れた場所で、園長と1対1で話しているチビっ子。


――状況から考えるに、ただ事ではないことは明白。

今日は、家で見ていれば良かったと、ほとほと後悔した。


「うちの子が、ミノリちゃんのお洋服を・・・・・・。弁償すればいいってことでもないって解ってるんだけど、キチンと買って弁償しますから――」