保育園に到着後、駐車場に車を停めた。

少し歩き始めた所で、門の手前からでも見えるテラスに、恭一の視線が向けられていた。


「なぁ、あれって怒られてんのか?」


そこには園長先生と男の子が向かい合って話をしている姿。

話し声まではこちらには聞こえては来ないが、恭一が言っているように、怒られているような雰囲気がある。


「なんだろうな」

「んー」


ただ、園舎とそのテラスの陰に保護者らしき人が壁つたいに立っていた。

このまま歩いていれば、通路を挟んで、その人の脇を通る感じで正面玄関。


「こんにちは」

大きな声で挨拶をするのは憚られ、小声めにそう言いながら通った時、

「あ、こ・・・・・・こんにちは」

その保護者はビクッと肩を震わせ、慌てたように挨拶を返してくれた。


――が、俺をミノリの身内だと認識した途端、何故だか表情が堅くなり。


「あ、ミノリちゃんの・・・・・・」

そう言われ、俺は眉を顰めざるを得なかった。

俺に向けられた保護者の顔は、今園長先生と一緒にいる男の子の母親で、下手すりゃ怒られている。