「ただいま」
「――はぁ?」
それは、あまりに予想外の出来事だった。
「あ! おじゃましてます」
「おお、恭一君いらっしゃい」
午前様が多い親父が、突然7時半というありえない時間に帰って来た。
「おかえり……ってか、なんか早くないか?」
ミノリは、「パパだぁ」なんて言って、喜んでいた。
「今日は会社の飲み会があるらしいから、早く帰って来れた」
「は? そういうのって、行くもんなんじゃないのか?」
「ん? 先手打って、用事があるって言っておいたからな。用事があるのにいつまでも仕事をしてるのも変な話しだろ? だから今日は早く帰って来れた」
「……なるほどな」
親父は、「たまにはこういう日もないとな」なんて言って、軽く笑っていた。
なかなかの策士だな……と、感心してしまう。
普段からもう少し策士っぷりを発揮して欲しいもんだと思いながらも、やはりミノリの喜んでいる顔には癒される。

