「なに食べたい?」
「ももぉ」
「桃か――ミノリ、桃はご飯を食べてからな?」
「えーっ、みぃ、ももしゃんたべたいのにぃ」
「今食べたら、ご飯食べる前に桃でお腹いっぱいになっちゃうぞ」
「う~ん」
果物好きのミノリの前に果物を置いたら、あっという間にペロリといかれる。
もう、夕飯を食べていてもおかしくはない時間だ。
あまり、お腹が膨れずな食べ物がいいが、バナナを切らせていたのは、ちょっと失敗だった。
「他には、なにか食べたいものないか?」
「んーと、うめぼしぃ」
「梅干しか?」
「うん! みぃ、うめぼしたべたい」
桃から梅干しって、どんな思考の展開力なんだか不思議に思ったが。
ミノリの好物でもあったし、なんとなくそれが許せてしまう。
俺は一旦キッチンへ戻り、小さい梅干が入った小瓶を開けて、小皿に1粒のせた。
「お腹空いても、ミノリちゃんぐずらないのな?」
「ん?」
「千春は、すんげー暴れる」
「そうなのか?」
「めっちゃ蹴ってくるし、パンチしてくるし――ありゃあ、性別は女だけど、性格は男だな」
頼むから、この先ミノリに変な伝染をさせないで欲しいと切に願った。

