「ダメに決まってんだろ。ミノリの風呂はいつも俺が入れてんだぞ? 俺の日課なんだよ」
「じゃあ今日ぐらい、いいじゃねぇかよ」
「お前なぁ、日課ってのは、毎日決まってするから日課って言うんだよ」
「へいへい、わーかったから、ヒートアップするなよ」
正直、ミノリを取られるんじゃないかって、そういう現実に直面しているから、冗談だと分かってはいても、些細なことに不安になる。
この家は、ミノリがいるから家族として成り立っている。
誰にも俺とミノリの仲は割って入って欲しくはない。
だから、恭一の厚意にも――正直乗らせてもらっていいものなのか、考えてしまう。
俺が出来る限りのことをしてやれないと、今は状況的に追い込まれているから――手放すことになるかも知れないし。
『ミノリを養女にしたい』
伯父さんの本気度が、どれほどのものなのか知れやしない。
伯父さんの唐突な申し出に、親父も全く取り合わなかったが。
あの人は、本気でなにか仕掛けて来そうだから、俺とミノリの今の生活に、安心や安泰なんて言葉は、まるでない。
そして、余裕もない。
それでも手放したくはない宝物だから――俺は俺に出来る、俺だけにしか注げない愛情をミノリにたくさん注いでやりたいんだ。

